第15章 花火
城下に仕立てた着物を納めにやってきた私は、町の様子がいつもと違う事に気がついた。
色鮮やかな提灯が町中に吊り下げられて、何だかいつもとは違う賑わいが感じられた。
「こんにちは」
届け先の店の暖簾をくぐると、いつも以上にお店の中が若い女性で賑わっている。
「これはこれは、アヤ様」
店の主人が出迎えてくれる。
「こんにちは。仕立てた着物を届けに来ました」
人の良さそうな店主は、私の手から着物を受け取ると、それを広げて確認し始めた。
「いつもながら、アヤ様の仕事の綺麗な事。確かに受け取りました。また、ご依頼したい品があるのですが、宜しいですかな?」
にこやかに店主が言う。
「はい、勿論です」
「今、依頼の品をお持ち致しますので、そちらにお掛けになって、暫くお待ち下さい」
店主はそう言って、店の奥へと入っていった。