第65章 かきかき 澁澤さん
ーーーー······
「澁澤先生おめでとうございます!」
「今作も、素晴らしい話でしたね!」
「ありがとうございます」
早く終わらないか、
つまらん
同じ言葉
同じ顔
ぐるぐる
ぐるぐる
コッコッ···
「受賞おめでとうございます。澁澤先生」
「···あぁ(またか)」
「今回の小説も素晴らしかったですわ。考え方も周りと違う」
「そうかい?」
「えぇ、私嬉しくなりましたわ。····ねぇ龍彦さん」
ぴくっ
(····名前)
する···
「今日の夜こそ、ダメですか?」
しつこい。
私には家に待たせてる
ーーー····
「おかえりなさい!···うわっお酒キッついですね~~!」
ーーーー····
「御遠慮するよ、帰らないといけないからね」
「····以前とは全く違う顔されますね」
「そうかな?」
「今だってそう···前に比べて柔らかく微笑む···ねぇ貴方の微笑みを私にだけ見せて···龍彦···」
「君との夜は実によかった、だけど君が求めてるのは何もうつさない私の赤い目だけ···次に会う時には私の"恋人"を連れてくるよ」
「こい···人···?」
「えぇ、小さくて可愛い私の"天音"」