第4章 🐾3
降谷零Side
一週間この家に張り付いてみたがこれといったことはない。あいつらが外に出てもしているのは近所の挨拶回りや買い物。なんら民間人と変わらない生活だった。
探りを諦めようか悩んでいたところ、黒の組織からの仕事が入った。
今日はジンと会い、作戦を練る。
指定された場所に向かう。
カラン…
とあるバーに入ればジンは一杯飲んでいた。
ジン「おせぇ」
「時間通りでしょ。それより僕とあなたを組み合わせるなんてボスは何を考えているんですかね?」
ジンの隣に座り、お酒を注文する。
ジン「さぁな。それより今回の件は暗殺じゃねぇからな。」
「そうなんですか。てっきりあなたと一緒だから暗殺かと思いましたよ。」
ジンはチッと舌打ちをしては「これだからてめぇとは組みたくねぇ」とぼやいて俺を睨む。
「じゃぁ、暗殺じゃないなら何をするんです?」
ジン「交渉だ。」
「はい?」
交渉?
ジンと一緒に?
考えただけで笑いそうになったが、実際に笑うとジンに殺されかねないので必死にこらえる。
丁度注文していたお酒が来て、一口飲んでやり過ごす。
「なんでもこの周辺を管理している組織があってな。その組織に顔を出して交渉しとかねぇと、あとが怖いみてぇだ。んなめんどくせぇことするよりバラしちまったほうがはへぇのにな。」
ジンは愚痴りながら仕事の内容を話す。
「その組織ってのは何なんです?」
ジン「あ?知らねぇのか?和宝組だ。表向きは民間人を装っているが、裏では暗殺や薬などを回したりしているらしい。」
「和宝組?もしかしてこんな人ですか?」
自分の中でもまさかとは思いつつジンに、頭と呼ばれていた男の写真を出す。
ジン「あ?なんだ調べてたのか?」
ジンは「そいつだ」と言い、酒を口にする。
まさかこんなところで思わぬ情報が手に入るとは。これはチャンスでもある。
「まだ調べて間もないので詳しく話してくれませんか?」
ジンはめんどくさそうな表情をしていたが「これも仕事のためですよ。」と言えば話してくれた。