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[ヒロアカ]それでも貴方は私の英雄です

第3章 お買い物なう


あれから電車に乗って、しゃぶしゃぶ屋に向かおうとしてる所。

電車が着くと、必ずいるのが列に並ばずに乗ろうとする人。
先頭の人の横に当然のように立ってるけど会話をしてないから横入り確定。

「おら、ちゃんとルールを守りやがれ!!」

辺りに響くかっちゃんのドスが聞いた声。
でも、横に並んでる人は我関せずって感じでスマホを眺めてる。

「デク、ちゃんと並んどけ」

『かっちゃん、暴力は駄目だよ??』

人間っていう生き物は多数決に飲まれやすい生き物だ。
いっちゃんはおろおろしちゃってるから、こういう時は素直に後ろに下がるのが吉。
で、かっちゃんに対抗して喋れる私が戦力ってわけ。
こういうときにリーダーシップを発揮するからかっこいいんだよね、かっちゃんって。

「シカトすんじゃねぇ!!ルールを守れつってんだろ!!」

かっちゃんはすかさず相手の胸ぐらを掴む。
さ、流石にそれはちょっと……。

『たんまたんま、流石にやりすぎだから!!』

慌ててかっちゃんと男の人を引き離すと、先頭に立ってるサラリーマンが睨んできた。
ひぇっ余計なお世話だったかな?

「子供ですらルールを守れるのに、大人げない」

なるほど、援護してくれるのか。

横に並んでた大学生くらいの男の人は、バツが悪そうな顔になり一番後ろのほうに歩いていく。

「ほら、かっちゃんも話を聞かないと駄目だよ。最初から並んでたけどそこには電車が来ないから他の列に並び始めるとかあるじゃん……」

「ご安心を、私が先に並んでいました」

サラリーマンの男性が、くいっとメガネを上げて答える。
すると、結構後ろに並んでたお姉さんも「貴方達の少し前に来たわ」と援護をしてくれた。

「あ、そうなんですか」

「はっ、ルールを守らねぇやつがヴィランになってくんだよ!!」

かっちゃんが勝ち誇ったように仁王立ちをして笑ってる。
周りの人達も拍手してくれたことで、私はようやく気づいた。

皆ルールを守らない人(悪)から救ってくれるヒーローを待っていたんだ、と。

たぶんかっちゃんがいなければ私は見過ごしてた。
オンラインゲームのときも、ちゃんと「仲間にいれて」って言えば入れてくれたはず。

いざってときに行動ができない自分が恥ずかしいな……。
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