君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】
第26章 番外編☆dolce
けたたましく鳴るアラーム音に、俺はまだ眠さを訴える瞼を持ち上げる。
ベッドの上に上体だけを起こし、一つ大きな伸びと欠伸をする。
それからTシャツの上からパーカーを羽織り、のそのそとベッドから這い出た俺は、カーテンを開け放ったままの窓辺に立ち、窓を開け放つ。
夜とはまた違った冷たさの空気が、全開にした窓から狭い室内に一気に流れ込んで来る。
「寒っ…」
俺は両手で自分の身体を抱き締めると、ハーッと息を吐き出した。
早朝の澄み切った空気に、俺の吐き出した白い息がスッと溶け込んで行く。
もうそろそろかな…
俺は目の前にあるマンションに目を向けた。
ほら、やっぱりだ(笑)
深夜、オレンジの明かりを放っていた部屋の窓が開き、真冬にも関わらず半袖姿の翔さんが、瞼を擦りながらベランダへと出てくる。
つか、あんな寒そうにすんなら、何か羽織れば良いのに…
ま、翔さんらしいっちゃ、らしいけどさ(笑)
「おはよ、翔さん…」
俺はベランダに立ち、ラジオ体操に似た動きをする翔さんに向かって言うと、開け放った窓を閉め、カーテンも閉めた。
そして再びベッドに潜り込む。
そう大して時間も経ってないのに、ベッドの中はもう冷えきっていて…
俺はパーカーを脱ぐことなく、ベッドの中で身体を丸めた。
すると、枕元に置いた俺のスマホが、音もなくLINEの着信通知を受け取った。
でも俺がそのLINEを開くことはない。
だって俺はまだ夢の中にいることになってるから…