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君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】

第20章 delicato


『で、でもニノは雅紀さんのことを…』

これ以上はダメだ…
きっと雅紀さんを苦しめることになる…

分かっていても、ずっと胸の奥底に溜まっていた物を吐き出すことを止められなくて…

『ニノは雅紀さんのことが好きだった…。ずっと…、雅紀さんと初めて会ったその日から、ずっと…』

兄としてなんかじゃない、ニノは雅紀さんを一人の“人”としてずっと想い続けてきた。

「知ってるよ…」

『知ってたのにどうして…』

一度もニノの想いに答えてくれなかったのか…

もし、一度でも答えてくれていたら、ニノは自ら命を絶つ…なんて選択をしなくても済んだかもしれないのに…

「無理だよ…。俺の恋愛対象は元々女性だし、仮にそうでなかったとしても、きっと和也に対してそういう感情を抱くことはなかったと思う」

いつだって笑顔を絶やすことのない雅紀さんの顔が、悲しげに歪む。

「前にね、和也に“抱いてくれ”って…、“一度だけで良いから…”って、言われたことがあったんだ」

『えっ…?』

「和也から聞いてなかったんだ?」

『…うん』

告ったことがある、とは聞いていたけど、そんなことニノは一言も…

「そっか…。俺ね、その時丁度付き合ってる女(ひと)がいてさ…。だから和也の気持ちには応えられない、って突き放したんだよね…」

『そんなことが…』

「それにさ、別に偏見とかあるわけじゃないけどさ、男が男に…ってのが、どうしても信じられなくてさ…」

『…うん』

俺達みたいな種類の人間からしたら普通のことが、雅紀さんや翔さんのようにノーマルな人間にとっては普通じゃないってことは、俺自身の経験上からも理解は出来る。

でも…

『じゃあどうして潤さんと…? 潤さんだって、ニノと同じ男でしょ? なのにどうして潤さんは良くて、ニノはダメなの?』

「違うよ…全然違う。潤も和也も、確かに同じ男だけど、潤と和也とでは全然違うんだよ…」

それはニノが、義理とはいえ“弟”だから…、だから恋愛対象にはなり得なかった、って…

そういうことなの?
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