自殺したら龍王の巫女(女)に転生しちゃったんだけど・・・
第5章 龍王の娘としての一日(出逢い編)
「よいっしょ…っと」
爪と翼を持つそいつは窓から入ってペタペタとセレンの足元に歩み寄ってきた。
「また道に迷ったのですか?これで10回目ですよ?」
「へへ、ごめんごめん。覚えようと思ってるんだけどね…
ところで、セレンさんが抱っこしてるその子は誰?見かけない子だけど。セレンさんの子?」
ようやく俺の存在に気付いたのか、爪と翼を持つドラゴン見たいなそいつはパタパタと俺の目線まで飛んできた。
おいおい、マジかよ。本当になんちゃらクエストに出てきそうなドラゴン…って言いたいけどよく見ると…
「…?どーかした?お嬢さん。」
小ちゃくね?ドラゴンの子供…?
「こら、失礼ですよ?
こちらはドラグノス陛下のご息女、フェラルシェーラ様にあらせられます。ご挨拶をなさい、アードナルド。」
アードナルドと呼ばれたドラゴンの子供?は驚いた様にすぐ頭を下げた。
「龍王陛下のご息女様!?こ、これは大変失礼致しました!!」
何だ、よく見れば結構可愛いじゃん。
俺は、アードナルドに触れてみたくなって手を伸ばした。
しかし、セレンに止められてしまった。
「いけません。フィーシャ様はまだ鱗が未発達なのですから今の柔肌のままで他龍の鱗に触れては怪我をされてしまいますよ?
特に、“鋼鱗”(こうりん)を持つ者は鋭く硬い鱗を持っておりますのでご注意くださいませ。」
「あ、そっか。まだ巫女姫様は赤ちゃんだもんな。俺ちゃん、龍に変身したままだったのすっかり忘れてた。」
そういってアードナルドは光に包まれたかと思えば、白銀の髪をした少年の姿で再度現れた。
見た目16歳くらいのスポーツ小僧って感じだな…
元インキャの俺からしたら正反対の性格してそう。
「改めまして、俺ちゃんはアードナルド。白龍騎士団に所属している騎士見習い。どうぞお見知り置きを、巫女姫様!」
ま…眩しい!!リオラとは別の意味で眩しい!!
前世で出会っていたならきっとお前は運動神経抜群のモテ男だったことだろう!!
「それよりアードナルド。貴方、今は訓練の時間ではないのですか?」
「そうだ!実はその訓練のことで龍王陛下を呼びに行くところだったんだ!」
「何かあったのですか?」
「うん、実は…」