第23章 17歳
そう言ってマヤは小さく笑う。
丘に吹く風に揺れる、小さな花のようだとリヴァイは思う。
「マヤ」
……この花を、マヤを、関係ないことになんかしたくねぇ。
「次の調整日はいつだ?」
唐突なリヴァイの問いにマヤは少し怪訝そうに、たどたどしく。
「……来週の日曜日… ですけど…?」
「空けておけ」
「はい?」
「出かける」
「………」
訳がわからないといった様子で、マヤは黙ってしまった。
……なんとか言えよ。
俺の心の声が聞こえたのか、マヤはのろのろと口をひらいた。
「私と兵長が… ですか?」
「あぁ」
「どこへ…?」
「ヘルネ」
「どうしてですか?」
……おいおいおい、なんでそんな質問ばっかりする。
嫌なのか?
約束したじゃねぇか、丘の上から一緒に景色を見ようと。
お前にとっては俺はただの兵士長で、命を助けてやったから恩義を感じて執務を手伝っているだけの関係で。ただそれだけの “なんの関係もない上司と部下” かもしれねぇが、俺はそれだけで終わらせる気はねぇんだ。
お前とならんで座った丘に咲く花を忘れられない。
マヤ、お前がその花のように可憐に笑うから。
今すぐにでも丘に飛んでいって、一緒に過ごしたいと思うのは性急すぎるだろうか?
「……執務を手伝ってくれた礼をしようかと」
「あぁ…!」
怪訝そうだったマヤの顔が、急にぱぁっと輝いた。
……執務のお手伝いのお礼って、それは少なからずお役に立てたってことよね?
嬉しい!
マヤは執務の手伝いをするいきさつが、自身の想いと熱意を少々強引にリヴァイ兵長に押しつけた形になったことを気にかけていた。
いざ手伝いを始めてみて、順調に毎日執務に励み、ともに食堂に行き部屋まで送ってもらう生活がつづいても、はたして本当にこれでいいのだろうか、少しでも兵長の役に立っているのだろうかという思いを抱いていた。