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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第28章 たちこめる霧に包まれたひとつの星


「そうなんですか…、人気があるのも大変ですね。じゃあ筋トレの時間が減ってしまって、ちゃんと気持ちは整うの? 大丈夫なんですか?」

思いがけない理由で好きな筋トレを思いきりできないナナバを、マヤは気の毒に思う。

「うん。激しい筋トレは入浴前にやって、夕食後は瞑想ヨガをすることにしたんだ」

「瞑想ヨガ…?」

あまり聞き慣れない言葉だったので、おうむ返しをした声は疑問符に満ちている。

「そ、瞑想ヨガ。蓮華座といってね、まぁあぐらみたいな座り方なんだけどさ…。そのポーズを取ったら目を閉じてゆっくりと全身の力を抜いていくんだ。そして呼吸を意識していくうちに自分の体の深部を感じられるようになっていく」

「へぇ…」

「告白されても困るから避けるために始めた瞑想ヨガだけど、なかなかいい。激しく汗をかく筋トレはもちろんいいけど、瞑想ヨガも整う! 終わったあとは心も体も不思議なほどに落ち着いて、次の日の壁外調査も静かな気持ちで向き合えるようになるんだ」

瞑想ヨガを語るナナバの声は透きとおっていて、大浴場に心地よく響いた。

「筋トレは “動”、瞑想ヨガは “静” って感じでいいですね」

「おお~、なんか感想がマヤっぽい」

「そうですか? っていうかマヤっぽいってどんな?」

「ん~、そうだな…。優等生って感じかな」

「優等生じゃないです、私」

そのときザバンと小さく音がしたので反射的にその方向を見れば、ずっと目を閉じてばかりいたマヤの二つ上の先輩兵士が、風呂を上がって出ていくところだった。

「……二人きりになっちゃいましたね」

「ちょうどいい。本当はマヤが風呂に入ってきたときから訊きたくてうずうずしていたんだ」

「何をですか?」

「マヤは優等生じゃないかもね」

「え…?」

「だってあの兵長とつきあうんだもん。とびきりの優等生か、その反対かのどっちかな気がする」

「………」

話題がリヴァイに飛び、戸惑って黙ってしまったマヤをナナバは笑い飛ばした。

「悪い意味じゃないよ! それだけ兵長とつきあうなんてすごいことだって言いたかったんだ。おめでとう、マヤはちゃんと自分の気持ちを見つけてあげられたんだね」

「……自分の気持ち…」


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