第27章 翔ぶ
「舞踏会には二回行ったけど、どっちも資金集めが目的だったよね? 団長が最初に言ってたもん… “舞踏会の参加は実質資金集めだという側面を念頭に置いてもらいたい” って」
「あぁ、うん。そうだね」
「だからパパ野郎の変態カインやレイさんの機嫌を取る… じゃないけど、まぁうまいことやって少しでもたくさんの寄付をしてもらうことが最終目標だったはず」
真剣な顔のペトラの説明を聞いて、マヤはこくりとうなずく。
「でもさ…。今回の場合…」
ペトラはなんとなく頭に浮かんでいる考えを、ゆっくりとまとめながら少しずつ話した。
「レイさんはマヤにすでにプロポーズして断られている訳じゃん…?」
「うん」
「そのうえで、わざわざ王都からここまでやってきた…。“オレのことを知ってもらう” ために…。じゃあさ、マヤがレイさんを知るまで満足しないよね?」
「………」
「もっと言えば、プロポーズをもう一回してくるんじゃない? そしてマヤがOKするまであきらめない。そんな気がする」
「……そうだね」
ペトラが言ったことは、マヤもおぼろげに感じていた。
招待されて王都に出向いて舞踏会に参加して。
そのときと今回は明らかに違う。
前ぶれもなく現れて、しばらく行動をともにすることになった。
今までみたいに失礼のないように気をつけて、楽しい時間を過ごしてもらう…、それだけではすまないだろう。
……ペトラの言うように、レイさんが満足するには…、ただ一緒に過ごすだけでは駄目だわ…。
いつかしてくるであろうプロポーズか交際の申しこみか… 、どちらかはわからないけれど、それを承諾して初めて任務完了になるのでは…。
そう考えると、どんどんマヤの気持ちは重くなった。