• テキストサイズ

ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第29章 Perfect Crime


《英二side》


コーヒーを飲みながら、ユウコは落ち着かない様子で何度もスマホの画面を確認していた。


「…ふふ」

『え?』

「あぁごめん、随分落ち着かない様子だったから…でもアッシュならきっと大丈夫だよ」

『うん……あの、エイジ…話聞いてくれる?』

「うん、もちろんだよ」

『ゴルツィネの屋敷でね、私アッシュからプレゼントをもらったんだ』

「えっ!?プレゼント?」

『うん、これ』


そう言ってユウコが机の上に置いたのはネックレスらしきものだった。らしきもの、と表現したのはチェーンがちぎれ、ネックレスとしての機能を失っていたから。

「えっと、それはネックレス…だよね?」

『うん』

説明を求めるようにユウコを見ると、彼女はぽつりぽつりと話し始めた。

『これ、まだ子供だった頃にアッシュが私に隠れてお金を貯めて、用意してくれてたものなの』

「へえ!」

『でね?詳しくは分からないんだけど、それを何でかゴルツィネが持っててあの場でアッシュが私に着けてくれたんだ、なのに…』

何かを言いかけて、ユウコの顔は悲しげな表情に変わった。

「…ユウコ?」

『オーサーに、その…引っ張られて壊れちゃって…』

「………」

『なんとか奪われずに守ったんだけど、もう使えないんだ』

「それ、直せないの?」

『頑張ってみたんだけど上手く出来なくて』

「ちょっと見せて?」

『うん』

「ペンチ…なんてないか、うーんとハサミあったっけ?」

『たしかこの引き出しにあったような…』

ユウコはハサミを手に戻ってきた。

「やってみてもいいかい?」

『えっ、いいの!?』

「うん、挑戦させて?」

僕はハサミの刃先でチェーンをつまみ、クイッと捻った。すると思った通り輪っかが開いた。ユウコは身を乗り出して僕の手元を見ている。

「…これを、ここに入れて…」

繊細なチェーンを開いた輪っかに通す。

『…わあ!』

最後に、最初と同じ要領でチェーンを閉じると無事にチェーンが繋がった。

「できた!」

『す、すごいエイジ!ありがとう!』


ユウコの手元に差し出すと、ユウコは本当に嬉しそうにキュッと胸に抱いた。

/ 729ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp