ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第25章 友よ
カチャ……ッ
その手から落ちたナイフが高い音を響かせて滑った。
エイジの上に倒れ込んだ彼はただのひとつも声をあげずに動かなくなった。
ガタガタ震える手は私のか、それとも…
やがて、銃を握ることも出来ずに私たちの手から滑り落ちる。
「ショーター…?ねえ、返事してよ!ショーター!!ショーター!!!!」
エイジの泣き叫ぶ声が脳内にこだまして、目を開けているはずなのに何も見えず真っ暗闇に放り込まれたかのようだった。
…ショーターを、私たちが?
ガラガラと音がして、背後の温もりが遠ざかってゆく。
「…ッハハ、ハハハハ!殺しやがった!撃ち殺しやがった…!ざまあみやがれ!!」
「…く……っう、ぅ…」
「たいした友達だなァ?ショーターもさぞ喜んでるだろうぜ…おい?どうだ、ダチを撃ち殺した気分は…どうなんだよ、アァ!?」
『……ッ』
「なんだよ…お前」
『…や、め…っ…私が、ショーターを撃…』
「2人でこの十字架を背負うってか?…ったく冗談じゃねえ!!お前は俺が連れていく。誰がお前の番か、きちんと躾けてやらねえとな」
「すごい心臓を1発だ、ありがたいことに頭は無事だよ…!あれが脳細胞にどんな影響を与えるのか兄さんも興味あるだろう?!」
「……運べ」
その言葉を合図に、数人の男に抱えられたショーターは奥の扉へと連れていかれてしまう。
「…どう、する気だ…やめろ…そいつに触るなァ!」
『…ショー、ター…っう、…ショータァ!!』
「…ショーター!!!ショーター!!!!」
重い音を立てて扉が閉まっても、私たちはずっと叫び続けていた。
「…ショーター…っあぁ、あ…ッ!」
「ッハハハハ…!まったく最高だぜ!!」