ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第25章 友よ
《アッシュside》
「……やめ、ろ…ショーター…」
なんだこの状況は…、
やめろ、やめてくれ…
「うおぉおおおお!!!!!」
ナイフを振りかざし、とどめを刺すかのように勢いよくエイジに駆け出すショーター。
やめろ、やめろ…やめろやめてくれ!!!!
「…ショータァーッ!!!!」
「!」
ショーターはふいに俺を振り返った。
「ショーター!」
「ァ…シュ……殺し…てく、れ」
「!?」
「俺、は……もうだ…めだ……解放…してくれ……苦し、い」
苦しい、解放してくれ、そう言うショーターがみるみる歪んで、俺の涙で溺れていく。
「…っ…ショー……」
「おいショータァー!お前の敵はここだ!さあこい!!」
「ショーター…やめろ、だめだ」
「……っわあ!」
「逃げろエイジ!!逃げるんだ!!!」
すると何を思ったかオーサーは脇腹を押さえてふらつくユウコに近付き、銃を差し出した。そして耳元で何かを話している。
「…ショーターはお前がやれ、弾丸は1発きりだ」
『っ…え、』
「確実に仕留めろ。嫌だと言えば今すぐこの場でアッシュをぶち殺してやる」
『…そ…んな…っ』
「お前がここまで頑なに俺を選ばないと言うなら、お前とアッシュの間に一生解消できない軋轢を生じさせてやる。お前はこの先アッシュに一生恨まれながら生きろ…それを慰めてやれるのは俺だけだ」
ガキンッ
刃物がぶつかる音がして、エイジのナイフが弾き飛ばされ地面に転がった。…まずい、エイジ!
『………』
「……!?」
ユウコは震える腕で、銃を構えた。
「おいオーサー!お前あいつに何を言った!!」
「あいつ、これからお前の親友を撃ち殺すってよ。ッハハ!…どうする、ユウコを止めるか?それともお前があいつを殺すか?」
ショーターがエイジの首を掴み、ナイフを振りかざした。あいつの唸り声からBANANA FISHに飲み込まれまいと心の中で葛藤しているのが伝わってくる。
ショーター…だめだ…
『………』
「………ッ、やめろぉおおおお!!!!!!」
ガクン、
突然手の拘束が緩んだ。
全てがスローモーションに見えた。