ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
「…っユウコ!!」
部屋の中に入ると、はぁはぁという2人分の荒い息遣いが聞こえる。ベッドを見るとユウコに覆いかぶさりキスをするクリスがいた。…2人とも、裸?
「な、何をしているんだ!!!」
そう叫ぶディノがベッドに寄るよりも先に僕の足が動いた。
「ユウコから離れろ!!」
「…っはぁ…は…ぁ……っ」
「…ユウコ…その髪…っ!?」
『……ァスラ…ン』
僕はクリスの体を突き飛ばして、ユウコを抱き締める。ユウコの髪が…っ…、どうして…!?それに体が熱い…もしかして発作が?
『……ン…、アスラン…』
キュッと僕のシャツを掴むユウコは何か言いたげに潤む目で僕を見ていた。その体にはクリスにつけられたとみられるキスマークがいくつも痛々しく主張している。
「……ごめ…っ…僕、キミを守るって言ったのに…」
近くでバシンという音が響く。
「クリス…ッ…これはどういうことだ!」
「…はぁ…っ…はぁ」
「この薬っ…!何故お前がこれを…?!これを使ってユウコに何をしたんだ!…まさか…」
そんな声が聞こえて振り返るより先にディノがユウコの脚を掴んでバッと広げた。
「な、なにす…っ!?」
「……血が、出ているだと…?貴様…なんてことをしてくれたんだ!!!」
「…血…?」
そのワードに反射的に僕もそこへ目をやると、ユウコの股から確かに血が出ていた。
「ユウコ、痛いの…?」
『…っぁ…ち、がう……』
「……ユウコ?」
騒ぎを聞きつけた手下の男たちが数人集まってきていた。
「こやつを2階奥の倉庫に閉じ込めておけ!…マークのヤツがこそこそと何かを嗅ぎ回っていることは知っていたが、クリスの差し金だったとはな…ある程度の自由を許していたばかりに調子に乗りおって…私の計画が台無しだ!!」
手下の男がクリスを抱え部屋を出ようとした時、腕の中のユウコがモゾモゾと動き出した。
『……や、だ…ころさ…な…で』
「え…?」
『…だめ…っ…殺さ…ないで…っ!』