第6章 メロディー
相澤先生が来て、ささっと席に着いた。
「今日は転校生が来ている。来い」
入り口に入って来たのは、黒髪の美しい少女だった。
そんな彼女の姿を見て、僕は目を見開いた。
『隣のヒーロー科の高校から来ました、前原奏です。よろしくお願いします』
前原さんか……とてもキレイな人だなぁ。
「じゃあ、緑谷の隣に座れ」
僕は相澤先生の言葉に目を見開いた。
彼女は僕の隣の席に座って、微笑んだ。
『出久……』
「えっ……」
何で、この子が僕の名前を知っているんだ?
体育祭のを見てたと言っても、普通は緑谷って呼ぶはずだ。
だけど、この子は前から知っていたような気がするんだ。
「緑谷。思い出したか?」
「えっ?」
相澤先生の言葉に首を傾げた。
そんな僕を見て、隣の彼女は悲しい顔をして俯いた。
「じゃあ、ホームルームはこれで終わりにしてやる。前原、やりたいことをちゃんとやれ」
『はい』
彼女は立ち上がって僕を見た。
『出久、忘れちゃったかな?私の個性で教えてあげるよ』
彼女はニコリと笑った。
『私達の超大作、“お互いにありがとう”』
彼女は歌い出した。
その美しい歌声と共に、何かの情景が浮かんだ。