第1章 初恋と友達
授業中は彼女のことしか考えられなかった。
『出久!』って笑ってくれる君が愛しい。
これって、僕の……いや、彼女が好きな曲でたくさん出てくる“恋”というものなのか?
授業と授業の間にある休み時間。
僕はボケーと窓の外を見ていると、何かで軽く頭を叩かれた。
顔を上げると、クラスのリーダー的存在である相澤蓮太が分厚い数学の教科書を持っていた。
「お前、アイツ好きなのか?」
「えっ……」
蓮太に言われて、僕の顔に熱が帯びる。
そんな僕を見て、彼はクスッと笑った。
「恋なんて非合理的って歌詞あった気がするな……」
「あっ、あの曲!」
「へぇー意外だなぁ。お前がそういう音楽が好きなの」
「いやぁ……」
僕にだって、趣味の一つや二つくらいあるさ。
それが完全に彼女の趣味と合わさるなんて思ってなかったけど。
それを蓮太に言ってみると、かなり驚かれた。
「趣味も合うなんてスゲーな!まさに運命ってヤツか?」
「えっ、そんな……」
「あるんじゃねぇの?ぼっちだったし」
「ぼっちは余計!」
僕がクラスメイトと話してるなんて夢みたいだ。
そう思ってると、チャイムが鳴った。
「じゃあ、また後で話の続きをしよう」
「うん!」
蓮太は自分の席に戻って行った。