第1章 初恋と友達
僕は今日も一人で歩いていた。
昨日、出会った彼女のことを考えながら。
『あれ?もしかして、出久?』
その可愛い声に僕は振り向く。
「あっ、奏。おはよう」
『おはよう、出久。今日も暑いなぁ』
「そうだね」
僕らは顔を見合わせて笑った。
こんな一瞬も、奇跡みたいなことだ。
『出久は好き音楽とか漫画とかないの?』
「僕の好き漫画は〇〇で、好きな音楽は大好きなユーチューバー〇〇が歌ってるあの曲かな……」
『うわぁ、全部一緒!私も大好きだよ!』
「えっ!?」
僕らはあまりにも趣味が合っていて驚いていた。
『すごいねぇ、趣味もぼっちも合うなんて……』
「ぼっちは違うでしょ。確かにすごいよねぇ」
二人して深く頷いて、また顔を見合わせて笑った。
『やっぱりすごいね!私達、天才になれるかも!』
「いやいや、天才はあり得ないよ」
そんなことを言っているうちに、教室の前に着いてしまう。
『昼休みにまた話さない?』
「いいよ。じゃあ、後で」
『うん、また後でね!』
ニコニコと笑って教室に入っていく彼女を見届けた後、僕は自分の教室に入った。