第1章 初恋と友達
暑いなぁと思うこの季節。
僕は応援練習でうんざりした様子で受けていた。
何で、大声を出さなきゃいけないんだろう。
ただ歌って応援するだけじゃつまらないだろ。
応援練習が終わり、廊下を一人で歩いていると、誰かとぶつかっていた。
「あっ、ごめんなさい!僕、前見てなくて……」
『イテテ……大丈夫だよ!私も前見てなかったから、あはは』
そんな彼女の笑顔に僕の胸が妙に高鳴る。
『私、ぼっちのクセにドジだからさ』
そう言って笑う彼女に、僕は親近感を覚えた。
「僕もぼっちで、色々やらかしちゃうんだ」
『おお!同じだね。じゃあ、ぼっち同盟結ぼう!』
「ぼっち同盟って……あはは!」
彼女はどっかの大統領の面会みたいに握手してくる。
そんな彼女が可愛いと思った。
「名前は?僕は緑谷出久」
『私は前原奏だよ、よろしく!出来れば、奏って呼んでほしいなぁ……』
「じゃあ、僕のことを出久って呼んで?」
『うん!出久!』
笑顔で僕の名前を呼ぶ彼女を見ると、僕は幸せな気持ちになった。
「クラスどこ?僕は6組」
『ああ、残念。私は隣の5組だよ』
「じゃあ、毎日会えるね!」
『うん、そうだね!』
僕はとても幸せな気分だった。
教室の前に着いて、少し寂しくなる。
『じゃあね、出久!また明日ね』
「うん、またね」
幸せだった。
誰かと久しぶりに会話して、とても幸せな気持ちになったんだ。