第4章 スカウト
都会で超有名なドリーム事務所は、僕らの目の前に立ち塞がるように建っていた。
中に入ると、ロビーで待っていましたというように、男が僕らに駆け寄る。
「社長のところまでご案内させていただきます」
えっ、社長?
さすがに奏もその言葉に驚いているようだった。
社員が扉を開けると、ガタイの良い男がソファーに座っていた。
「社長、連れて参りました」
「オッケー!二人共、ここに座って」
僕らのイメージを覆すように、社長はものすごく明るい性格の肩だった。
「私は八木幸平だ、よろしくな」
「はいっ、よろしくお願いいたします!」
『……よろしくお願いします』
社長は僕らに名刺を渡すと、ニコニコと笑った。
「そんな堅苦しくしなくて良いよ」
「はい……」
そんな静かな僕らに社長が言った。
「二人共、歌ってみてくれないか?」
「『えっ?』」
社長のダメもとを聞いて、僕らは顔を見合わせる。
仕方がない。やるしかないんだ。
「歌おう、奏」
『うん!』
僕らは大きく息を吸い込んだ。