第2章 僕らの夢
僕はカメラの電源を付け、スイッチを押した。
「どーも!AMAREの出久です!」
『奏です!よろしくお願いします!』
一瞬だけ、彼女と顔を見合わせた。
「僕らは基本的に歌を歌うことをします!」
『いや、語彙力……まぁ、たくさん歌う歌い手の活動ばかりする予定です!』
「さっそく、今日も一曲歌います!」
そして、僕は彼女の膝を二回叩いて言った。
『「ミュージックスタート!!」』
あらかじめ録っておいた歌を編集で挟む予定だ。
『どうですかね……全然、自信無いけど』
彼女が心配そうにカメラに向かって言った。
「大丈夫。僕らなら大丈夫だよ」
『そうだよね……うん、大丈夫だ……』
彼女は深呼吸した。その姿も好きだ。
「せめて、名前だけでも覚えて行って下さい!」
『これからよろしくお願いします!』
僕らは最高の笑顔をカメラに向けた。
そして、僕はカメラの電源を落とした。