第2章 僕らの夢
蓮太と優花さんと別れ、僕らは一緒に喫茶店に行った。
強制的にあの二人に別行動させられたのだ。
分かってるんだよ。
アイツらが僕にさせたいことが。
『出久』
彼女がアイスココアを飲みながら言った。
『私の夢は歌手なんだよ』
もはや、運命かって思った。
『みんなに上手って言われ続けたからね。憧れちゃったの』
「それは僕もだよ」
悲しそうに言った彼女は僕の言葉に驚いて固まってしまう。
「僕も色んな人に上手って言われてきて、なんか錯覚でもしちゃったのかな。憧れちゃうんだ」
僕はスマホを出して、彼女に見せた。
「僕、こんなユーチューバーになりたい。歌い手ももちろん、面白いこともやりたいな」
『……良いじゃん』
彼女は少し前のめりになって言った。
『一緒に歌手……ユーチューバーを目指そうよ!』
これは、高校一年の夏の始まりに起きた物語だった。