• テキストサイズ

イケメン戦国『永遠の花園』

第1章 初恋は突然に/ピックアップ御礼・記念作品




「しかたねぇなぁ。じゃーさ、今からどこか行こうよ。あ、オレんチ来ない? 手品のタネ明かししてあげる」

「っ、行きませんてば!」

「すぐ近くだからさー」


近付くにつれ会話が断片的に聞こえて来た。

と、同時にジリジリと胃が焼けるような苛立ちが沸き起こる。

目と心臓の次は胃酸の逆流か…

一体どうなってるんだ、俺の身体は。


「なあ、いーだろ? 行こうぜ」

「やっ…!」


青年が莉菜さんの腕を強引に掴んだその時、


(パシッ!)


今度は俺が、それを制止させる目的で青年の手首を掴んだ。


「この女性(ひと)に何か用ですか?」

「…!」

「佐助くん…っ」


驚いた二人が目を同時に見開く。


「用なら俺が代わりに聞きますけど」

「い、いや… 別にたいした用じゃ」

「たいした用じゃないなら彼女の腕を離して貰えませんか? 今すぐに」


いかなる事情があろうと莉菜さんを怯えさせた事実は許しがたい。

掴む手にギリ、と力を込めると


「っ!? 痛ってェ! わかった離す、離すから!!」


俺の思惑通り、青年は呆気なく手を離した。


「うぅ… マジ痛ぇ」

「すみません、痛くしてしまって」

「すみませんじゃねーよ! 赤くなってんじゃねーかっ!」


よほど痛かったのか涙目になって腕を摩り、フーフー息を吹きかけてる。

少し強くし過ぎたみたいだな…

軽く制裁は加えつつも加減はしたつもりだったんだけど。


「あー くそ! 動かすだけで痛ぇ… 手は商売道具だってのに」

「冷やせばマシになりますから」


文句を言う青年に対処法を告げてから莉菜さんに声を掛けた。


「ごめん、遅くなって」

「ううん…!」


莉菜さんはホッとした様子で俺に寄り添う。


/ 17ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp