【ONE PIECE】トラファルガー・ローに愛されて。
第6章 花筏。
ローside
* * * *
「げほっ、げほっ、……う゛ぇっ、!!」
首を絞めていた影の手が、スッと消え、彼女の胸を貫いている、…深く。
荒々しくその影は揺れ、まるで意志を持った人間のようだった。
(シェリルじゃない、)
────その剣を、彼女に向けろ、そして、
笑え───、
あの時。
余裕な魔女が高々と笑った、あのとき。
自分とそっくりな声が、彼女の影から聞こえた。
何がどうなってるか分からなかったが、それに従った。
そして、首を絞められた。
───彼女を助けたければ、その刀で、彼女を切れ、
彼女の首を────、
「あ゛ぅ゛、う゛ぅ゛う゛…っ!!」
「首……、か」
刀を持って、彼女に近づく。
俺とそっくりな、彼女の影の声。
そんな訳も分からない声を信じるなんて、俺は馬鹿げてるだろう。
だが、なぜか、信用できるような気がしたんだ。
懐かしく、優しい、悲しい声だったんだ。
「……シェリルを…、ころ…す、気か、私もろとも…っ!!?」
「殺すんじゃねェ、救ってやるんだ…」
─────愛しい女を、
「Room」
サークルを作り上げ、俺は彼女の肩に刀を置いた。
首にぴたり、と、一度付け、そこから頭上に振り上げる。
息をのんだような、残酷、非情な、魔女の顔。
それを最後に、切っ先が首を、いとも簡単にはねた。
「─────ぁ゛、」
「─────、」
切り裂いた感覚が、確かにあった。
─悲劇を、喜劇に…─