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【ONE PIECE】トラファルガー・ローに愛されて。

第6章 花筏。


「あ゛っ、が……ッ、!!」
「息ができなくて苦しいか? …今、楽にしてやる」
「う゛ぅう゛…ぁ゛っ、」


血走った目で、私を睨みつけ、足掻く。

先ほどまで嘲るように私を笑い、涼しい顔をしていた男。
その男が、だらしなく口から涎を垂らしている。
首を絞める影に、必死に抵抗していたのが、徐々にその手も震え、弱々しくなっていく。


(…さようなら、)



────Diqiwes(ディクイエス)



あまりにも、乾いた指の鳴る音。

瞳を閉じ、蔓延の笑みで男に指を向けて鳴らした音。
彼の身体は、四方八方に貫かれ、無残な姿になって…。
真っ赤な鮮血が辺りに散らばって、最高の最期を迎えているだろう。
そんな光景を見たら、きっと、確実にシェリルの精神は粉々に壊れる。



(完全に、体が手に入るッ!!)



影が胸を貫く感触が、伝わってきて、私は優越感に浸りながら、目を開けた。









想像していた通りの、影の手に貫かれた彼の姿。
影は彼の血で真っ赤に染まり、鮮やかな『死』────、









─────ではなかった。




「………は…、?」


拍子抜けの声が、口から出る。

男は首をさすりながら…、苦しみから逃れて、安堵の表情を浮かべている。
今の一撃で死んだはずだ、どうして、生きている…ッ!!
彼を拘束していた影は、一体、何処に行った。
挙動不審に、辺りを見渡して、その『事実』に気づく。




「はぁ、はぁ、はぁ、…ゲホッ、」
「なんで…、」




真っ赤に染まっていく、姿。







─────なぜっ、








徐々に感じる、確かな痛み。







「……う゛ぅ゛、がは…ッ!!」
「…はぁっ、はっ…はぁ、」
「な…ぜ、どうして、ありえ、ない……っ!!!」







(なぜ、私が刺されている…っ!!?)
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