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【ONE PIECE】トラファルガー・ローに愛されて。

第6章 花筏。


右手で、鞘に入ったままの剣を持つ。

俺からはハッキリと、女が微笑んでいるのが見えた。
背後に気配を感じ、剣を引き抜き、振り返る。
気配に向けた切っ先の先には、海面にいたはずの女が立っていた。

『ほぅ…、よく気づいたな』
「全員、よく聞け。この女に手を出すな」
『…あれ、アンタ……』


―――――この子の、想い人じゃないか。


目を見開き、動きを止める彼女。

意味不明な言葉を呟き、再び笑い出す。
今度は腹を抱えて、滑稽、滑稽、と呟いた。
俺は、彼女から視線を外さずに、剣を向け続ける。


『あははははっ!! …はぁっ、こんな再開もあるものだねぇ』
「何を言っている…?」
『この子は、お前の想い人じゃないか…?』


そう言いながら、彼女は自分の胸元に右手を当てた。
さっきから、何を言っているのかさっぱり分からない。
だが、見覚えのある姿に、どこか違和感を抱く。



―――――記憶を消された後では、何を言っても無駄か。




「記憶を…消された…、?」
『…どうせ、戻ることはないだろう。哀れなものだな、お前も、シェリル・フローザーも…ッ!!』


吐き捨てるように言い放ち、覇気を放つ。

数人の部下たちは意識が飛び、その場に倒れ込む。
覇気を受けた瞬間、俺の頬に誰かが触れた感触がした。
その頬に触れると、『映像』が頭に過ぎった。







「嫌いになった訳じゃないの。…むしろ、大好きよ」


苦渋の決断をした顔。

影の隙間から見える、彼女の……。




―――――心の底から、愛してる。





“law,iruhyur irwa qeiinty”

目隠しされた隙間から、見えた文字。



「すべて記憶から滅せよ、この忌まわしき私を…」
「足跡も、触れた痕も、すべてすべて、すべて―――――…」

空に、泣き声を響かせていた。
海面に浮かんでいるボートの中から。


俺を見つめて、子供のように泣きじゃくって。





「ロー…、ろー、ろぉ…!! あぁぁ…っ!!」

意識が消える瞬間まで、何度も、聞こえていた。
愛しい声が。





(―――――――シェリル…、)








「…シェリル…?」






―呟いたのは、愛しい彼女の名前…―
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