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【ONE PIECE】トラファルガー・ローに愛されて。

第3章 散り際。


*  *  *  *


「船長っ! 次の島、見えましたよ!!」
「…あァ…、」

『ろ、ぉ《…ジッ、》す、《ザアァ…》てるっ』


ノイズ紛れで、思い出せない記憶…?

ここ最近、何か、大事なことを忘れている気がしてきた。
目を瞑れば、砂嵐で遮られた映像と、ノイズが酷い音声が頭に流れる。
そして遂には、唯一、一番の安息である夢にまで現れた。

「なぁ、シャチ、…船長どうしたんだ?」
「…変な夢に悩まされてンだよ、知らねェの?」
「…ふぅん…」


一体、あの女は何なんだ…っ。

真っ赤な目に涙を溜めて、ギュッと唇を噛み締めて、何か堪えたような表情が、焼きついて離れない。
それはあまりにもリアル過ぎて、現実にあったのかもしれない、と思わせる程だった。

「お前に…、覚えなんてないぞ」


俺の中から、消えてくれ。

ビュッ、と潜水艦が傾くほどの強風が吹き、過ぎ去っていく。
被っていた帽子が飛ばされかけ、頭部に片手を当てた。
風が過ぎ去っていった方向を見て、ホッとして帽子から手を離す。


――――ロー…、


「―――――――ッ!!?」


背後から声が聞こえ、片手に持っていた刀を鞘から引き抜き、切っ先を向ける。
が、そこには部下たちだけがおり、俺を凝視していた。






―完全に記憶を消すことなんて、できずに…―
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