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【ONE PIECE】トラファルガー・ローに愛されて。

第2章 花言葉。


影で象ったナイフを手に、それを自分の左肩に突き刺した。
瞳を大きく見開いて、切なそうな眼差しを向ける彼を見ていられなくて。
口だけでなく、彼の両目も素早く隠す。
…本当はそんな理由は2番目で、1番はきっと、こんな不細工な泣き顔を彼に見せたくないからだ。


「嫌いになった訳じゃないの。…むしろ、大好きよ」


心の底から、愛してる。

深く突き刺したナイフを、勇気を振り絞って抜き取る。
頭を冴えさせる、鋭く突き抜ける痛み。
先ほどの戦闘での疲れもあり、肩で息をしながら、私はその左肩の傷口に触れ、指先に血を付け、床に文字を書く。


“law,iruhyur irwa qeiinty”


リトア語で、『ロー、私に関わるモノ から 逃げて』。

血で書いた文字は両足を伝い、蛇のように首に巻き付き、焼印のように痕を残した。
小さく収縮し、鎖骨辺りに真っ赤に刻まれ、その上をなぞる。

「すべて記憶から滅せよ、この忌まわしき私を…」
「――――――ん゛ぅ゛っ!!?」
「足跡も、触れた痕も、すべてすべて、すべて―――――…」

(魔女と呼ばれていただけ、あるでしょう?)


呪いのような言葉(呪文)を呟いて。

暴れていた彼等は、フッと意識を失って倒れる。
それを見届けて立ち去るはずだったけれど、最後に触れたいと、影で甲板に飛び乗った。
仲間を護るために、汚い血を浴びた彼の、安らかな眠りについている寝顔。

「ロー…」

さようなら。







―愛しい彼の頬に、口づけを落として―
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