【ONE PIECE】トラファルガー・ローに愛されて。
第1章 淡い。
『……や、やっぱり行けない!!』
「あァ!? 今さら何言ってんだ」
『だって…、だって私…怖いの…っ』
海が怖いのよ!
彼の肩に樽のように担がれながら、私は顔を赤く染めて俯き、彼は瞳を見開いて驚いていた。
いや、正確には…あきれている、というべきか。
ぷ…っ、と吹き出し、笑い出す。
(………なっ!)
「大丈夫だ、怖くなんかねェよ」
『……や、やだ! 下ろしてーっ!!』
「うるせェ、黙ってろ…舌噛むぞ。…それに、」
お前に拒否権はないと言ったはずだ。
ぐっと口を閉じ、私は暴れるのを止めた。
まだ、あの残虐な光景が脳裏に焼き付いている。
自分の方が、あれ以上の酷いことをしてきたが、彼のあの目がひどく怖かったせいか…。
むやみに逆らってはいけないと、脳が警告している。
(でも、落ち着く…)
『横暴な人ね!!』
「言ってろ。俺は海賊だ」
『…な、名前、は?』
─俺はトラファルガー・ローだ─