【ONE PIECE】トラファルガー・ローに愛されて。
第1章 淡い。
* * * *
北の塔の地下室はすごく寒くて、石造りの床が冷たい。
私を縛るのは、分厚い手錠ではなく、海楼石でできた、鎖と足枷だけだった。
檻の向こう側には…鉄の扉があり、何人もの警備の人間が彷徨いている。
奪われたのは、帰る家だけ。
海楼石がなくても使える影は、指を一本でも動かせれば操ることができる。
人々の虚しい安堵を心の中で小さく笑った。
それでも、此処から逃げようとしないのは、自分の意志で。
(これは、罰…)
神扱いされ自惚れて。
海賊を悪だ…と、気づかない内に脳内に刷り込まれて何人もの海賊を殺めてきた。
何のためらいもなく、結局…、ただ、自分の自己満足で殺していたんだ。
海賊よりも愚か。
(もう…、疲れた)
―終わりにしよう、何もかも―