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【ONE PIECE】トラファルガー・ローに愛されて。

第1章 淡い。


*  *  *  *

彼女の家にあった抜け道を使い、俺は、数時間歩き続けて街にたどり着いた。
船医でありながら高熱にかかるなんて…。
しかも、女に助けられた。

(処刑…って、言ってたよな)


気のせいだったか。

弱まっていた雨が、再び強く降り出している。
ひとまず刀を肩に掛けて、食料調達中のベポたちを探した。
するとすれ違い際、島の人間の会話が耳に入ってきた。

「それで、あの魔女は…?」
「北の塔の地下牢に幽閉されてるらしいわ。明日の昼過ぎ、広場で処刑ですって、楽しみね」


(ついさっきまで、自分たちが縋るように崇めていた彼女を、コイツ等は…)


シェリル…。

海楼石がはめられていたのにも関わらず、彼女は力を使って影を操り、俺の拘束を解いた上に脱出までさせた。
なのに、なぜ…今、抵抗しないんだ。

「船長!」

両手に大きな荷物を持ったベポ、シャチとペンギンが駆け寄ってきた。
なんだァ…?と、ポケットに手を入れると、何かが入っている。

(これは…、薬草か!!)

高熱、眩暈、吐き気に効くと言われている、即効性の珍しい薬草だ。
だが、自分で入れた覚えは全くない。

(まさか…、あの女が?)


そうとしか思えない。

身体を拘束され、閉じ込められた部屋の中には、たくさんの医療の本、薬草、実験室のような感じだった。
医学に長けている、というのには当然当てはまるし、この薬草に、わずかながら覚えのある香りがする。


(…間違いない…)


あの時…、抱きしめられたときに香った香りがする。
薬草のにおいとは別に、フッと落ち着く…。




―媚薬にもにた、甘い…―
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