第39章 番外編~記憶がなくても…貴方に会いたい~
<…ザー…ザー…>
…遠くで波の音が聞こえる…
それに潮の香り…
翔「…ん…」
重い瞼をゆっくり開けると、白い天井が目に入った
翔「…こ…こ…」
ここは…何処だろう…
俺は何故ここに寝てるんだろう…
暫くボー…っと考えていたら
<カチャ>
入り口のドアが開いたのでそちらに顔を向けると、女の人が立っていた
「あっ!」
…?何?
俺の顔を見て驚いた顔をしたと思ったら
「お兄ちゃーん!名無しさん目が覚めたよー!」
…名無しさん?
それって俺の事?
…って俺の名前はっ…!
翔「…えっ?」
「おー、やっと目が覚めたかー。気分はどうだ?」
暫くしてさっきの女の人と一緒に白衣を着た男の人が入ってきた
翔「…あの…俺…」
「あなた2ヶ月も意識がなかったのよ?」
2ヶ月も?
翔「…ここは何処ですか?」
「T島さ。まあ、全島民合わせても、百人満たない小さな島だけどな。ここは島唯一の診療所だよ」
翔「診療所…?何故俺がここに…?」
「何故って…あなた大怪我して海に漂ってたのよ?」
海に…?
翔「あの…何故海に…」
「…は?」
「…おい…お前名前は?」
翔「名前…?俺は…」
俺の名前は…
どうしたんだ…?何故出てこない…
「どうしたの?」
翔「…わからない…自分の名前が…何処で怪我をしたのか…何故海に漂ってたのか…」
「お兄ちゃん」
「…記憶喪失か…」
目が覚めた俺は…全てを忘れていた…