第27章 虹の袂
太郎がうちに来て数十日が経った…
暫く慣れるまで時間がかかったけど、何とかこの家に馴染んできて、皆も色々協力してくれた
そんなある日
雅「…え?太郎の様子が?」
潤「そうなんだ…今朝からご飯を食べないし、散歩に連れて行こうとしたんだけど、リードを見ても全く反応がないんだ…」
何時もはリードを見せたらしっぽを振って喜んでたのに…
雅「太郎…どうした?具合でも悪いのか?」
太郎の様子を伺うと、毛布の上に横たわり俺の方に顔を向けることもしなかった
…呼吸が少し荒いような気がする…
雅「俺ちょっと太郎を病院に連れて行ってくる」
潤「うん、気を付けて」
太郎を車に乗せて、ばあちゃんがよく連れて行ってた動物病院に向かった
名前を呼ばれて診察室に入り、診察台に太郎を乗せて先生に状況を伝えて色々検査をしてもらった
その結果…
「…大分心臓が弱ってますね…」
雅「えっ…」
心臓が…?
「もうこの子も高齢ですし…体力的に限界かもしれませんね…」
…えっ…それって…
雅「先生…じゃあ太郎は…」
「…ご家族の方で看取ってあげて下さい…」
先生の言葉に俺は頭が真っ白になった…
何時かはこんな日が来る事は覚悟していた…
智兄にだってそう言ったけど…
雅「…太郎…帰ろうか…」
俺は先生にお礼を言って会計を済ませ、太郎を抱いて家に帰った