第27章 虹の袂
帰り着くと皆も太郎が心配だったのか玄関まで駆け付けてくれた
先生から言われた事を伝えると
翔「…そうか…」
皆暗く沈んでいた
智「雅紀だけじゃない…俺達も覚悟決めろって事か…」
雅「俺…やっぱり軽率だった…可哀想だから俺が太郎の面倒を見ないと…って…でもいざその局面に立ち会うと…」
やっぱり辛いし、太郎にとってどうしたら良いのかも解らない…
和「雅紀兄さん…」
そう思っていたら突然
「…キューン…キューン…」
雅「えっ?」
太郎の鳴き声が聞こえ振り向くと、さっきまで寝ていた太郎が立ち上がり、ふらふらと歩いていた
潤「太郎、お前どこ行くんだ?」
近くにいた潤が太郎に寄り添って着いていくと
潤「雅紀兄さん…太郎外に出たいみたいだよ」
雅「外に?」
何で外に…トイレじゃなさそうだけど…
俺も玄関に向かうと確かに太郎はふらつきながらもドアを前足で触っていた
和「もしかして…家に帰りたいんじゃ…」
智「家って…ここが家なのに?」
家…太郎にとっての家って…
雅「それって…ばあちゃんの家…?」
太郎…ばあちゃんの所に帰りたいのか?
俺は太郎に近付いて頭を撫でた
すると俺の目を見てまるで訴えるかのように見つめていた
そっか…そうだよな…
太郎にとっての唯一の家族は…
雅「…帰ろうか…太郎…ばあちゃんの所に…」
俺は太郎の身体を抱えて外に出た