第27章 虹の袂
その後、俺は太郎を連れて家に帰った
智兄と和はもう見慣れた光景だったからか
智「この犬が太郎か…」
和「久しぶりですねー…雅紀兄さんが犬を連れて帰るの」
…と、大して驚いた様子も見せなかった
潤「…慣れてるな…2人とも…」
和「もうどれだけ見てきた光景か…いい加減突っ込む気もありませんよ」
俺はお腹を空かせた太郎にご飯を与えていた
翔「雅紀…どうする?」
雅「…どうする…って?」
翔「西川キクさんの息子さんの連絡先だよ。キクさんが倒れた時に近所の人が連絡したって言ってたなら、探せばその人すぐ見つけられるだろうから…」
…あの息子さんに連絡したらきっと太郎は…
雅「…良いよ。どうせ連絡したって、太郎を保健所に連れていこうとするだけだろうから…」
翔「…そうだな…」
それなら太郎はこのまま俺が…
そう考えていたら…
智「雅紀…お前覚悟は出来てるのか?」
雅「…えっ?」
覚悟…?
智「その犬は老犬だ…キツイ言い方だけど、多分そんなに長いこと生きられないだろう…それが解った上で太郎を飼う覚悟はあるか?…ちゃんと看取ってやれるのか?」
雅「智兄…」
覚悟…太郎を最期まで俺が…
雅「…うん…俺太郎を最期まで飼う…ばあちゃんの代わりに…」
…きっとばあちゃんは太郎の事が気がかりで、俺に電話してきたんだ…
なら俺がその想いを受け継いで…最期まで太郎を幸せにしてやりたい…
この時俺はそう覚悟を決めた…