第26章 a mistake(6)
約束の場所に着いて店内に入ると、既に奥のボックス席に秀二が座っていた
秀「翔子ちゃん、突然呼び出してごめんね」
翔「ううん、でもどうしたの?」
秀二の向かいに座ると、神妙な顔つきに変わった
秀「…実は、俺が立ち上げた会社が不渡りを出したんだ…」
翔「えっ?」
…でたでた
秀「それで今日中にお金を用意しないと、会社が倒産して多くの職員が路頭に迷うことに…」
翔「まあ…」
ハイハイ、大変ですね
秀「翔子ちゃん…厚かましいお願いなのは解ってるけど…」
翔「…何?何でも言って」
秀「…お金…貸してもらえないかな?もちろん借りたお金は必ず工面して返すから」
嘘つけ!返すつもりもないくせに
翔「そんな事気にしないで。いくら必要なの?」
秀「…300万」
翔「300万?」
ほー…高く出たな…
秀「いや…200万でも…」
翔「それだけで良いの?」
秀「…えっ?」
俺がそう言うと、そう返ってくると思わなかったのか、逆に驚いた顔をしていた
翔「遠慮しなくて良いのよ秀二さん。私達結婚するんだから、いくらでも用意するから」
秀「い、いくらでもって…翔子ちゃんいくらまで大丈夫なの?」
翔「そうね…すぐに用意出来るとなると…
1000万位かしら…」
秀「いっ…1000万!?」
さすがにそこまでとは思わなかったのか、秀二は目を丸くして驚いていた
翔「どうする?」
秀「じ、じゃあ、1000万…」
…コイツ…俺が提示した額そのまま言いやがった…
欲丸出しの大間抜けだ…