第23章 a mistake(3)
翔「まさか、お金を渡したんですか?」
伊「…ええ…あの子の将来の為に貯金していた分と、定期預金を解約して…合わせて200万…」
智「えっ!?」
200万も!?
伊「あの子も必ず返すからと言って出ていって…でもそれから数日連絡が来なくて…気になって主人に連絡して弥生が住んでるマンションを聞いて駆けつけたら…部屋で首を吊って…」
和「…やっぱり…騙されて…」
伊「部屋の机に遺書があって…お金を渡した翌日から連絡が取れなくなり、騙された事に気付いたと…それで私に対して謝罪も書かれてた…『お母さんの言う事を聞いておけば良かった…ごめんなさい』って…」
…それでその男から殺されたようなものだと…
伊集院さんは声を詰まらせながらそこまで話してくれた
潤「…あの…貴方が依頼してきた数日後にうちの事を探らせてませんか?」
伊「…ええ…」
潤「その時、うちは大野グループ関係者だと解ったのではないですか?なのに何故翔兄さんが詐欺をしたと…」
伊「…彼は元々大野グループとは無縁だし、養子だと聞いたから、養子縁組される前の事だと思って…」
…なるほどな…初めて会った時から俺が詐欺をした男だと思ってたから、先入観からそうだと…
翔「弥生さんが言っていた男の特徴が事実なら、俺は確実に無実です…俺は事故の後遺症でこんな足になってますが、まだ2年経っていません…その頃は普通に生活していましたから」
伊「…ごめん…なさい…ごめんなさい…」
伊集院さんは泣きながら、ひたすら俺に謝り続けていた…