第23章 a mistake(3)
智「詳しいお話聞かせて下さい」
伊「…弥生がまだ幼い時、私は主人と別れて弥生は主人が引き取ったの…けど、定期的に弥生と会わせてくれると約束して…」
和「もしかして、依頼の時に聞いた『桐生弥生』って…」
伊「娘の名前よ…」
やっぱり…そうだったんだ…
伊「弥生が高校入学まではよく会っていたけど、そのうち間隔が開いてきて…どうやら主人と再婚した新しい母親に遠慮してたみたいで…だから私も極力会わないようにしていたわ…けど2年前に突然会いに来て、今結婚を前提に付き合ってる人がいると…」
潤「その人がもしかして…」
潤がそう訪ねると、伊集院さんは無言で頷いて
伊「そう…弥生を殺した男よ」
翔「一体何があったんです?何故弥生さんは…」
暫く沈黙の後、伊集院さんは机に置いていた弥生さんの写真を手に取った
その時の顔はとても寂しそうで…今にも泣きそうな目をしていた
伊「…その男が立ち上げた会社が不渡りを出して…『今日中に返済出来なければ、会社が倒産して多くの従業員が路頭に迷う事になる』と言ってきたと…だから私にお金を貸してもらえないか?と訪ねて来たの…」
雅「えっ、何で伊集院さんに?」
伊「弥生には歳の離れた弟妹がいるのよ…だから…」
…父親と養母には言えなかったんだ…まだ小さな子供がいるから…
和「でも、それってもしかして詐欺じゃ…」
伊「ええ…私もそう言ったの…けどあの子は『大丈夫、あの人はそんな人じゃないから』と言って聞かなかった…」
信じてたんだ…愛した人が自分を騙す様な事するハズはないと…