第23章 a mistake(3)
雅「翔ちゃんはそんな事しません!話を聞いて下さい!」
伊「…っ…離してっ!」
翔「伊集院さん…話を聞かせて下さい…何故俺が貴方の娘さんを殺したと言うのですか?あの時貴方は顔も名前も解らないって…」
雅紀が伊集院さんを座らせて、落ち着いてから問いただすと
伊「…その足よ」
翔「えっ?」
足…?
潤「足だけで何故…」
伊「娘が以前、付き合ってる彼は足が悪いから、好奇な目で見られていつも嫌な思いをするらしいと言ってたのよ」
智「まさか…それだけで翔くんを…?」
伊「あと、とても綺麗な顔立ちで、よくモテるとも聞いたわ」
…それは誉められたのか?俺は…
和「…決定力に欠けますね…たったそれだけの事で、貴方は何の関係もない人を殺そうとしたのですか?」
和也の言葉が癪にさわったのか、伊集院さんは興奮した様子で
伊「関係ないですって!?私は1人娘を殺されたようなものなのよ!?それを…!」
潤「…だからといって、貴方も同じ事をして良いと言うのですか?」
翔「潤…」
静かに話を聞いていた潤が、突然語るような口調で話し出した
潤「確かに貴方にとっては大切な1人娘かもしれません…けど、俺達にとっても翔兄さんはかけがえのない兄弟なんです…それを貴方の理不尽な理由だけで殺されそうになるなんて、許せる訳ありません」
智「…大切な肉親が意味もなく殺された時の気持ちは、貴方が一番解ってる事ではないですか?」
伊「…けど…それでも弥生は…」
雅「翔ちゃんは違います。証拠もなく俺達の大切な家族を奪わないで下さい」
雅紀達の言葉に、伊集院さんは項垂れ静かに泣いているようだった…