第14章 空から落ちてきた天使(8)
~智side~
智「生田斗真…だな?」
病院の駐車場隅に佇んで、ずっと病院を見つめていた男に声をかけた
俺が名前を呼ぶと、その人物はゆっくりこちらを向いた
雅「…今、何で逃げなかった?俺達が近付いていた事、気付いていただろ?」
斗「…逃げる?…おかしな事を言うな…何故俺が逃げなきゃいけない…」
雅「警察には通報してある…お前、指名手配されてるぞ」
斗「ふっ…警察など…」
智「和也が気になるか?」
俺がそう言うと、一瞬にして空気が変わり、雅紀が俺の身体を盾にするように立ち塞がった
…やはりプロだな…
斗「くだらん事を言うと、今すぐお前の心臓をぶち抜くぞ」
智「なら、何故和也を助けた?お前だろ?あの時、和也を捕らえてた男の腕を銃で撃ったのは」
斗「昔のよしみで助けただけだ…単なる気紛れにすぎん…」
…コイツも案外素直じゃないな…
智「気紛れでも何でも良いさ…お陰で和也は無事に戻って来れたんだから…」
斗「くだらん…わざわざそんな事を言うために来たのか」
智「俺達も和也を助けてくれたお礼に、忠告しに来ただけだ」
雅「早くここから離れた方がいい…俺達はともかく、翔ちゃんはお前の事許さないと思うから…」
そう話していたその時、病院から翔くんが出てくるのが見えた
斗真もそれに気付き、何も言わずにスッ…と居なくなった
翔「智くん!雅紀!」
俺達に向かってくる翔くんは、どこか嬉しそうな顔をしていた
雅「翔ちゃんどうしたの?」
翔「潤が…潤の意識が戻ったんだ!」
智「ホントか!?」
潤が…ついに戻ったんだ!