第14章 空から落ちてきた天使(8)
俺はそっと潤くんの手を握り
和「潤くん…俺帰って来たよ…潤くんのお陰で無事に帰れたんだよ?」
翔「…和也…」
和「…これで2回目だね…こうやって潤くんの目が覚めるのを待つのって…言っておくけど、大変なんだよ?いつ目が覚めるのか分からないのに、ただ待つだけなんて…」
潤くん…早く声が聞きたいよ…
『和』って…俺を呼んでよ…
和「潤くん…潤くん…」
お願いだから…目を開けてよ…
俺はいつの間にか涙が溢れ出て、その滴が潤くんの手にポトッ…と落ちた
すると…
<…ピクッ…>
和「…えっ…」
翔「どうした?和也…」
和「…今…潤くんの手が動いたような…」
翔「えっ!?」
俺の言葉に、翔兄さんもベッドに近付き潤くんの顔を伺っていた
そして…暫くして…
潤「…っ…」
潤くんの瞼が微かに動いた
和「動いた…潤くん!潤くん!」
翔「潤!解るか!?潤っ!」
俺と翔兄さんが大声で声を掛けていたら、看護師さんが駆け付けてきて
「どうかしましたか!?」
翔「弟が声に反応したんです!」
「先生に連絡します!」
そう言って看護師さんは先生に連絡しに行った
和「潤くん!」
そして俺がまた声をかけると…ついに…
潤「…か…ず…?」
うっすらと潤くんが目を覚ましていた
和「潤…くん…」
翔「潤…潤っ!」
潤くんに声をかけている翔兄さんも、俺と同じで目に涙を溢れさせていた
そして先生が駆け付け俺達は廊下に出され、暫くして
「よく頑張りましたね。もう山は越えたとみて良いでしょう」
翔「あ…ありがとうございます!」
その時部屋の中を見ると、潤くんがこちらに顔を向けて微笑んでいるようだった…