第11章 空から落ちてきた天使(5)
翔「…ん…」
雅「あ、翔ちゃん気がついた?気分はどう?」
あの後、病室を借りて翔ちゃんを休ませていた
翔ちゃんは目を覚ますと辺りを見回し
翔「ここ…病…室…」
雅「…うん…翔ちゃん突然倒れたから…」
俺がそう答えると、翔ちゃんはポロポロと涙を流していた
雅「えっ!翔ちゃんどう…」
翔「夢じゃ…ないんだ…本当に潤が…」
雅「翔ちゃん…」
こんな時…俺はなんて声をかければ良いんだろう…
大丈夫だって言ってやりたいけど…
根拠のない慰めを言っても…
そう思っていたら
翔「雅紀…潤の側に行きたい…」
雅「え、う、うん」
俺は翔ちゃんの身体を支え、借りてきた車イスに翔ちゃんを乗せ潤の所に行った
事前に智兄から潤は集中治療室に入ったと聞いていたのでそちらに向かうと、廊下に智兄と松兄が座っていた
智「翔くん…大丈夫か?」
智兄が翔ちゃんに近づき声をかけたけど、聞こえていなかったのか、翔ちゃんは立ち上がると真っ直ぐ室内が見えるガラス窓までふらつきながら歩いていった
翔「潤…潤…」
そして中で眠っている潤に向かって、ただひたすら呼びかけていた
雅「翔ちゃん…」
翔「何で…どうして潤がこんな目に…」
泣き続ける翔ちゃんの側に智兄が近づき、肩に手をそっと置き
智「翔くん…潤は今必死で戦ってる…生きようと頑張ってるんだ…俺達兄貴がそれを見守ってやらないと…」
…けどそんな智兄の言葉も翔ちゃんには届かないのか…
<パシッ…>
智「翔…くん…」
智兄の手を振り払っていた…