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アフタヌーンティーはモリエールにて

第5章 マシュマロとガトーショコラ


二人の話を聞いた杏奈は、なんとゆーか…ご愁傷様ですと、身体の向きを斜めにして、二人に向かって両手を合わせ頭を下げた。
そんな彼女の反応にイラッとした松田は、本当になと杏奈の小さな頭をグッと押さえつける。

何するんですか痛いですーと頭を抑える松田の手を剥がして顔を上げた杏奈は、でも…と言葉を続けた。


「お二人とも信頼する素敵なご友人がいるんですねー。」


うんざりしたような苦い表情をする松田と萩原だが、その表情はどこか優しく、瞳はキラキラと輝いていた。憎まれ口を叩けるのも、信頼しているからこそだろう。

いいですねー正直ちょっぴり羨ましいですと、へらへら締まりのない笑みを浮かべる杏奈に、萩原はまぁそうだねぇと微笑み肯定して、松田もまぁ信頼はしてるなと片方の口の端を釣り上げた。


「まぁ伊達は別の部署であんまり顔合わせないし、降谷と景光に至っては連絡すら付かないんだけどねぇ。」


二人は今頃どうしてるのやらと、肩をすくめる萩原。
たしかに部署が違えば同じ署内にいたとしても、なかなか会うことはないだろう。フロア自体違うかもしれない。
しかし伊達はともかく、他の連絡さえ付かない二人とは一体。

一応メールはちょいちょい入れてるんだが返信しやがらねぇと、溜息を吐く松田。
しかし二人は言葉の割に心配している雰囲気は然程ない。何やら連絡の付かない二人が今頃なにをしているのか分かっているようで。


「連絡の付かないお二人って、もしかして……。」


杏奈はある可能性に気付いて言う。
しかしそこから先をこの場で口にしてもいいのか分からず、彼女は途中で言葉を切った。

だが確認するように松田と萩原に視線を飛ばせば、松田はニヤリと怪しく笑い、萩原はニコニコと意味深な笑みを浮かべて一つ頷いて。

なるほど。だからそんなに心配してないのねぇ。
無言で笑みを浮かべる二人に、杏奈は彼らも自分と同じ可能性に行き着いていることを悟る。その上でゆったりと構えているのだから、降谷と景光は相当な実力者なのだということも。
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