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アフタヌーンティーはモリエールにて

第4章 アッサム、ときどき、カモミール


東京都内のとある町ーー杯戸町。
杯戸シティホテルや杯戸中央病院など主要な施設が多くあつまる都市であり、海に面した立地にあり杯戸港という港には、豪華客船が停泊することもある。
また巨大なショッピングモールには有名ブランド店が軒を連ねる。モールの足元には若者に人気の飲食店やカフェが並び、連日多くの人たちで賑わっているこの街。

今日も今日とて多くの人が交錯し、無関心に過ぎ去っていく。
その賑わいながらもどこか寂しい光景を、松田陣平はカフェの一角から眺めていた。

松田は警視庁警備部機動隊の中にある"爆発物処理班"に所属する現役の警察官だ。
普段は爆発物処理班として交代制の勤務や、厳しい訓練に身を置く彼だが、今日は当番も訓練もない完全オフ。

普段は青の出動服に黒い防弾チョッキのようなプロテクター、水筒やら簡易消化器やら色々な備品をぶら下げ、金属製の黒い篭手という何とも重量感のある服装の松田。
しかし今の彼は白いTシャツの上にさらりとデニムシャツを羽織り、黒のスキニーパンツと黒のレザーシューズを合わせたカジュアルなファッションに身を包んでいる。

シンプルでカジュアルな私服は、松田のスタイルの良さを引き立て、カフェで友人と談笑する女性たちの視線を嫌が応にも集めていた。


「それで、そのとき友達がねー……。」


松田の目の前に座るのは、いやらしくない程度に肌を露出したカジュアルでフェミニンな女性らしい服装の女。
髪は明るめの茶色に染められ、耳にはピアス。爪先までネイルでしっかりと飾り付けられた女は、先程からずっと自分の話をしている。

この女は松田の恋人ではない。初対面の女だ。
久方ぶりの非番に、何となくぶらりと杯戸駅周辺を歩いていたところ、声を掛けてきた。迷ってしまったので道案内をして欲しいと声をかけてきたのだ。所謂逆ナンというやつである。

松田は整った容姿をしている。
サングラスで隠されている瞳は力強く、癖のある髪と相まってどこかやんちゃで愛嬌があるのに男らしい。
更に普段の厳しい訓練で鍛え上げられた身体は、しかし筋肉を纏っている風ではなく、引き締まっているのに細身で男らしく洗礼された雰囲気がある。その容姿はいやが応にも異性を惹きつける。
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