第12章 魔法の言葉はXYZ
見透かされたような言葉に、驚きのあまり言葉もない風見に一つ笑って、上司は言葉を続ける。
《その為にも早く仕事を終わらせるぞ》
「ーーはい!」
凛とした声に風見も姿勢を正して、真っ直ぐに返事をした。
それに満足した様子で、上司は電話を切った。
通話を終えて直ぐに仕事の詳細が記されたメールが届く。
それを一通り確認してポケットに仕舞うと、風見はハンドルにもたれかかる。
本当に敵わない。何もかも。
しかしそれでいいのだ。
あの頃のように対抗心を燃やすことはもうない。今、風見の胸に広がるのは、彼の力になりたい。ただその一心のみ。
風見はシートベルトを締めると、真っ直ぐ前だけを向いて車を発進させる。
少女のおかげで心身ともにスッキリとし、上司の言葉でやる気も燃えている。
頭の中で自分のやるべきことを確認しながら、風見はただ想像した。
穏やかに話す少女と尊敬できる上司がいる、喫茶店の一角。
その穏やかな光景を。
ーー 魔法の言葉はXYZ ーー
まさかの風見さんが先に登場。
未来につながるお話ということで、山も落ちもなく。
そして名前変換がなくて、すみません。