第8章 盗まれたのは
はぁはぁとお互いにベッドに横になり息を整える。
快感の余韻でぼーっとする頭だが、あぁまた初めて奪われたな、なんて考えていた。
隼人がムクっと起き上がり私の横に座りなおす。
そして頭を優しく何度も撫でられた。
「後始末はしてやっから、お前はそのまま寝てろ」
そうして撫でられている内にだんだんと重くなっていく瞼。
撫でられているのが心地良くてゆっくりと瞼を閉じる。
すると電源を消されたテレビのように、プツッと私の意識も途切れた。
早乙女は愛香が寝たのを確認すると、一度彼女を抱き上げてソファに寝かせる。
彼女の寝顔を見て、ふっと笑いおデコに1つ優しくデコピンを落とす。
よし、と意気込みをし先程着ていた服をとりあえず着直し、汚れたベッドなどの清掃を始めたのであった。
夜も更け、時計がひと回りした頃、早乙女は1人自室にて携帯を片手に電話をかけていた。
数回コールが鳴り、もしもし、と言う男性の声が聞こえた。
「どうも、早乙女です。
夜分遅くに連絡してすいません」
《いや、大丈夫だ》
「貴方から承っていた件、予定通り終わりましたのでご連絡を」
《ほー…流石に手が早いな。
それでどうだったんだ?》
電話の相手は愛香が日本で一緒に住んでいた赤井秀一だ。
彼から愛香の身体について何か副作用や傷などがないか調べて欲しいと言われていたので、連絡をしたのだ。
実は愛香に渡した手紙とは別に、自分宛の手紙も渡されており、赤井秀一や沖矢昴などについての詳細、起きている事態などの内容が書かれていた。
そこまで自分に話してもいいのだろうか、そう思ったが愛香を我々の元に戻すのに必要な事だったのだろう。
「後遺症や薬の副作用、傷などありませんでしたよ。
どうやら無理矢理抱かれたと言っても相手は愛香様を大切に抱いて下さったようで。
あぁ、ちなみに私は最後まで抱いておりませんので、ご安心下さいませ」
《ふっ…苦労をかけてしまったな。
また何かあったら気軽に連絡してくれ》
「いえ、何もない事を祈ってます。
では失礼を」