第7章 さよならは突然に
赤井秀一side
「シュウ、本当に良かったの?」
ここは俺が今暮らしている工藤邸。
そこに同僚であるジョディが来ていた。
「なにがだ?
あちらに送り返すのが最良の選択だったはずだが」
「それはそうなんだけど…」
「こちらの方が片付いたら戻ってくるだろう」
そう彼女をアメリカの実家に渡したのは俺だ。
元々ジェームスから彼女の家の事などは聞いていた。
ジェームスにも相談したが、やはり家に戻し、事が収まるまで居てもらうのが良いという結果に落ち着いたのだ。
勿論俺が表立って動くことは出来ない為、ジョディに手伝ってもらったが。
練りに練った計画は奴等に気付かれること無く、彼女を無事に帰す事に成功したのだ。
その為ジョディの質問の意味がわからなかった。
いや、本当は分かっていたが否定しているだけだ。
今現在感じているこの感情を。
「ねぇ、シュウ。
シュウは…」
「ん…?」
そこまで言って一向に話出さないジョディ。
「いいえ、なんでもないわ。
それじゃあ私学校に行かなきゃならないから戻るわね」
「あぁ」
「(聞けないじゃないの…。
シュウは愛香が好きなの?だからそんな寂しそうな顔をしてるの?って…)」
ジョディが居なくなり、部屋は静寂に包まれた。
「ふっ…」
思わず鼻で笑ってしまった。
この俺が愛香が居ないこの空間を淋しい、と思う日が来るなんて。
俺も絆されたものだな…。
自身の携帯を弄り、新しく彼女に渡した端末の番号を見つめて
明日にでも連絡してみようかと思い携帯の電源を落とした。