第5章 潜入デート
彼女が謝罪の言葉を口にし、頭を下げていた。
すぐさま頭を上げてもらう。
「貴方に何もなくて良かった…。
今後、僕と出掛けたとして何処か行く時はまず連絡を下さい」
と改めて彼女に伝える。
自分が彼女に特別な感情を抱いてしまったと分かったとして、今すぐどうこう、という話ではない。
むしろ考えなければならない事が増えてしまったのだ。
とりあえずは今は1人の時間が欲しかった。
彼女にこれから予定がある事を告げ、下にタクシーを呼んである事も説明する。
自分が送り届けられないのは心配だが、やる事がある以上仕方がない。
だが、少しだけ、ここで頭を整理してからにしよう。
そう思い、彼女と屋上で別れる。
空を見上げる。
空は雲ひとつない晴天。
なぁ…
お前に会いたいよ
景光
そんな事を考えながら、暫く蒼い空を見つめ続けた。