第4章 戯れ
今日は下に降りると沖矢昴の姿はなく、朝食と一緒に置き手紙が置いてあった。
『おはようございます。
少し所用で外出します、ゆっくりとご飯食べて下さいね…か』
まぁ、いない方がゆっくり出来ていいんだけども。
少し寂しい…なんて思ってしまった私はこの短時間で毒されているな、とため息をつく。
今日のポアロの仕事も順調にこなせた。
安室透が至る所で紳士ぶりを発揮して、私がやろうとしている事を率先してやったり、お客様をメロメロにしたり…ある意味疲れたけ
れども。
これが毎回続くとなると大変だが、もうそうゆうものだと割り切るしかないようだ。
私が上がる頃近くに、安室透から話しかけられ、早速この後デートしませんか?と誘われたが
今日はコナン君と少年探偵団に会ってくると説明し、丁重にお断りしてきた。
「それは残念です…貴方と少しでも同じ時間を過ごしたかったのですが、今日は子供たちにお譲りしときます」と眉尻を下げて本当に残念そうにされました。
このやり取りを見ていた女性陣から感嘆の溜息と共に嫉妬の視線を注がれた。
「安室君のお誘いを断るなんて…!」的な事だろう、うん。
視線が痛いので、そそくさと退散させてもらった。
ポアロから出る時に安室透のにこやかな笑顔と「お疲れ様でした。後で連絡しますね!」を背中にいただいたので
ニコリと自分も笑顔を返しておいた。
これは安室透が敵か確かめる前に、女性客を敵に回してしまいそうだ…と下を向いて考えていたからか
曲がり角から出てくる人に気付かなかった。
気付いた時には既に目の前で。
咄嗟に持ち前の反射神経で後ろに飛び退いてしまった。
その動きは常人ならざる行動で。
飛び退いてしまってから、しまった!と思い弁解をすべく相手を見る。
そこには1人の青年が驚いた顔でこちらを見ていた。