第9章 帰国…?
「それで…?貴方が居ながら何故彼女が行方不明になるんですかね?」
「安全だと思った場所に連れて行ったのですが、スルリとそこから盗まれてしまったようで…。
まぁ、立ち話もなんですから上がって行かれては?」
『えっ』
まさか赤井秀一が自らの領域に彼を入れる…?そんな驚きから思わず声が出てしまった。
でもまさか、安室さんが警戒している昴兄の申し出を受ける訳がーーー
「少しでしたら」
う、受けた…!?
嘘でしょ…。
何を考えているのよ、2人とも…!
そんな心の叫びは届かず、どうやら本当に家にあがるようで。
コナン君に助けを求めようと彼を見ると、首をブンブンと横に振られた。
くぅーーーっ、役立たずめっー。
「コナン君、確か君は阿笠博士の所に行く予定ではなかったですか?」
「えっ!ぼ、僕そんな予定は…」
「行く予定、でしたよね?」
「あーーーー…う、うん、忘れてたなぁ!!
博士待ってると思うから急いで行かなきゃーっ、じゃ、じゃあねー!!」
に、逃げたーーーーーっっ!!←
昴兄の威圧感に負けて、コナン君は脱兎の如く去って行った。
あの感じだときっと無理矢理阿笠博士の所に行かされたんだろう…可哀想だけど、私を置いて逃げた罪は重い。
後で蘭ちゃんに連絡して怒ってもらおう、そう心に固く誓った。
これから私の身に起きるであろう悲劇を考えたらこれくらい安いものでしょう。
そう考えながらコナン君が逃げて行った阿笠博士の家を見つめる。
「それでは中に入りましょうか」
昴兄を先頭にして無言のまま私と安室さんが着いていく。
沖矢昴に安室透、そして私。
お互いに腹の中が分からない3人が密室に集まる…この後何が起こるかなんてきっと誰にも予想がつかない。
嫌な予感を心の内に秘め、工藤邸に足を踏み入れるのであった。