第2章 喫茶ポアロにて
そんな2人の様子を見て安室は気を利かせたようで
「すみません、そんな無理に聞くつもりはないので大丈夫ですよ。気になさらないでください。」
と、ニコッと笑った。
恐らく一般的な女子なら落とされていたであろうキラースマイルで。
残念ながらそのカテゴリーには類していない柊羽は特に気にする様子もなく続けた。
「いいんです。ポアロにはこれからも気持ちよく来たいからモヤモヤしたくないし、別に大したことじゃないので。私、三年くらい前に色々あって男性が苦手なんです…その、同世代くらいが、特に…」
なんだか貴方のことが苦手です、と言っているような感じがして安室に申し訳なくなり、段々と小さくなる声。
「そうでしたか。それはお気の毒に…僕には図りきれないくらい辛いでしょうね。そうとは知らず、ファーストコンタクトで驚かせてしまいすみませんでした。」
柊羽の不安を吹き飛ばすように、本当に申し訳なさそうに彼は言った。
「あ、そういえば自己紹介が途中でしたよね?失礼しました!僕は安室透です。一応私立探偵をしていて、毛利探偵の弟子入りをしたばかりなんです。」
「小五郎さんに弟子…なんだか不思議な感じです。ふふっ。あ、私は坂巻柊羽です。フリーでwebデザイナーをしていて、いつもポアロでお仕事させてもらってます。」
「だからパソコンで…1人でやりくりとは、凄いですね。」
「いえ、この仕事ならクライアントと顔を合わせなくても出来るからってだけで、全然褒めていただくようなあれでは…というか安室さんこそですよね?おまけにアルバイトも勉強もだなんて、頭が上がりません。」
(こいつら、また俺の存在を忘れてやがる…)
それがなんだか気に入らないコナンはわざとらしく咳払いをした。
「あ、ごめんコナンくん。ていうかここ座る?」
「うん!ありがとう!」(にゃろう、早くそうしろっての!)
「ホットサンド、冷めちゃいましたね。温め直してきますから待っててください。」
そう言って安室は厨房へ消えた。
とことん気の利く男だな、と柊羽は感心した。